2025年8月2日――
それは、世界中のドラマファンにとって忘れられない日になりました。
米人気ドラマ「ウォーキング・デッド」でアディ役を演じ、スクリーンを通して無数の心を揺さぶってきた女優ケリー・マック（本名：ケリー・クレベノウ）さんが、故郷シンシナティで静かに息を引き取りました。
死因は中枢神経系の神経膠腫（グリオーマ）――脳や脊髄に発生する悪性腫瘍です。
享年、わずか33歳。あまりにも早すぎる別れでした。
◆ 最後の瞬間まで“女優”であり続けた
ケリーさんは病と闘いながらも、決して弱さを見せなかったと言います。
インスタグラムに遺族が投稿した声明には、こう綴られていました。
「消えることのない悲しみとともに、愛するケリーが亡くなりました。
あの明るく情熱的な光は、私たちがいずれ向かうであろう来世へと旅立ちました。」
その言葉の裏には、最期まで凛とした姿勢で人生を演じ切った彼女の生き様が刻まれています。
◆ 少女と小さなビデオカメラ
物語は華やかなハリウッドから始まったわけではありません。
幼いケリーが誕生日に手にしたのは、小さなビデオカメラ。
家族や友達を撮影し、自作の短編を見せては笑い声に包まれる――それが彼女にとって最初の“映画館”でした。
そのレンズの向こうに見えたのは、ただの遊びではなく、人生を懸けて語るべき「物語」という世界。
この瞬間、少女は一人の物語の語り手としての道を歩み始めたのです。
◆ プロフィールと学びの足跡
- 本名：Kelley Klebenow
- 芸名：Kelley Mack（ケリー・マック）
- 生年月日：1992年7月10日
- 出身地：米オハイオ州シンシナティ
- 学歴：Hinsdale Central High School（2010年卒）／Chapman University Dodge College of Film（2014年、シネマトグラフィー学士号）
大学時代は撮影・編集・脚本とあらゆる分野を学び、現場では常に全力。
友人たちは「誰より早く来て、誰より遅く帰る人だった」と口を揃えます。
◆ 女優としての軌跡
ケリーさんのフィルモグラフィーは、ジャンルも役柄も幅広いものでした。
- テレビ
- 「ウォーキング・デッド」シーズン9／Addy役
- 「シカゴ・メッド」シーズン8／Penelope Jacobs役
- 「9-1-1」ほか多数
- 映画
- 『Broadcast Signal Intrusion』（2021年、Alice役）
- 『Delicate Arch』（2024年、Wilda役）
- 公開予定『Universal』ではエグゼクティブプロデューサー兼出演
- 広告・ナレーション
- Dr Pepper、Dairy Queen、Ross、Chick-fil-A、Budweiserなど
- 『スパイダーマン：スパイダーバース』宣伝版のグウェン・ステイシー役の声も担当
彼女は単に“役を演じる”のではなく、“物語に息を吹き込む”ことに命を懸けていました。
◆ プロデューサーとしての挑戦
演技だけでは飽き足らず、制作の裏側にも積極的に参加。
プロデューサーとしてクレジットされた5作品では、脚本やカメラワークにまで意見を出し、俳優目線と制作目線の両方で作品を支えました。
スタッフからは「現場の空気を一瞬で柔らかくする才能があった」と評されます。
◆ 結婚相手は？
ケリーさんは生涯独身でした。
結婚のニュースは一度も報じられておらず、人生の多くを仕事とクリエイティブな活動に注いでいたようです。
◆ 彼氏はいた？
はい、彼女には恋人のロガンさんがいました。
公の場に頻繁に登場する人物ではありませんが、闘病中も常にそばで支え続けた存在。
家族や友人と共に、最期の瞬間まで彼女の手を握っていたといいます。
◆ 仲間が語る“ケリーらしさ”
『ウォーキング・デッド』で共演したアラナ・マスターソンはこう語ります。
「本当に素晴らしい人。最後のエピソードで彼女と共に戦えたことを誇りに思う。」
現場では差し入れの手作りクッキーを配り、スタッフ一人ひとりに声をかけて回る――そんな細やかな優しさが彼女の魅力でした。
◆ 33年の輝きと永遠の物語
33年という時間は、人生としては短いかもしれません。
しかしケリー・マックが刻んだ足跡は、年月では測れないほど濃密です。
病魔は彼女の体を奪いましたが、
彼女の声、笑顔、スクリーンの中の輝きは、これからも世界中のファンの記憶の中で生き続けます。
小さなビデオカメラから始まった物語は、もう二度と終わることはない。
ケリー・マック、その光は永遠に――。
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